同窓会の事務局の仕事の1つに、母校からの依頼案件があります。
イベントの後援依頼、後援会がらみ、そしてここ数年続いているのが学生向けの講師依頼です。
キャリアパス講演の講師もその一つです。
5学科だったのが創造工学科に改組となり、創造工学の授業が開始されてからキャリア部門の一環として行われている『キャリアパス講演』が11月4日(木)に行われました。
例年大講義室にて1年生の授業で講演を行っているのですが、今年はコロナ禍であることと、寮の大規模な修繕工事のために遠隔での講演依頼でしたので、これはめったにないチャンスと、関東支部と西日本支部を通して講演依頼をしてみました!
まず1人目は関東支部より快くお引き受けいただいた先輩である機械科19期の福井さん。
一度、関東支部で講演を聞いたことがあったのですが、安定感がありました。
「レッドラインでも大丈夫」の題名のとおり、自他ともに認める留年のレッドラインにいる学生だったというところから話は始まっていきます。
そして、年代的にバブル真っ只中と思われる年の就職。
どこに行っても(配属されても)やるぞ!と言う決意の言葉が、なぜか逆の意味に捉えられていきなり出向を命じられるのです。
しかも機械屋がIT系の中に放り込まれます。
こんな出だしから始まるのですが、辞めずに頑張ってきた福井さんの会社生活からはたくさんのアドバイスが散りばめられていました。
プレゼン資料にない言葉の中にも、たくさんのアドバイスがありましたが、ちゃんと学生に届いていたのがわかりました。
そして、2人目の中村さん。
知る人ぞ知る応援団OBで、各支部で気合と笑いを振りまいてくれる素敵な後輩です。
こちらも二つ返事で引き受けてくださいました。
理科が得意だった中村さんは高専に入学し、入った後も良い成績を維持して大学編入を目指します。
ところが、工場見学で出会ってしまった会社で働きたい!!
と就職を決意します。
そして大企業で働き始めるのですが、大学編入をあきらめたわけではなく、内地留学制度で会社に在籍しつつ、大学で学んでいくのです。
沢山の論文を読みあさり、大学の研究室で多くを学ぶことで、高専だけでは得られない知識や十分な環境での研究する機会を得た後、開発プロジェクトに関わります。
そのような経験からわかりやすくまとめられたアドバイスが学生達に伝えられました。
大学について丁寧に説明があり、編入を考えるまで間がある学生にも、知識をたくさん得ていく重要さがわかったようです。
この2人からは、偶然にも真反対の環境からのアドバイスがありました。
「小さくて若い企業のメリット」 と 「大企業で働くメリット」
「未経験のことを一から学ぶというやりがいや、メインの作業ではないところから関わっていくこと」
そして
「大企業の中で、大学で得た知識をもとにいろいろなプロジェクトに携わること」
これを一度に聞くことが出来た学生は、ラッキーだったなと思いました。
福井さんは最後に、とあるお坊さんの話として「縁故」の解釈を通して色々な選択があることを伝え、樽前会などを告知して話を終えます。
中村さんからは最後に、キャリア教育のなかでもとても大事な「労働の権利」を丁寧に学生たちに説明があり、初めて聞く学生たちには強く印象に残ったようです。
『一期一会』。
毎年、1年生が一度だけ経験できるキャリアパス講演。
昨年の1年生は別の講師の話を聞き、来年の1年生もどんな講師の話が聞けるのかわかりません。
キャリアの振り返りや、キャリアアンカーを考えるうえで、今年の学生にはどのようにプラスに作用していくのでしょうか。
講師を引き受けてくれたお二方、短い時間で準備も大変だったことと思います。
しかも、初の遠隔での講師でしたが、本当にお疲れ様でした。
ありがとうございました。
そして、聞きごたえのある話をしてくれた講師を紹介してくださった関東支部、西日本支部の支部長さん、本当にありがとうございました。
工業化学科22期 渡辺 郁子